明日は
「友だちになろうか?」

 墨丘は自然で嫌味がなく、本当に友だちが欲しいようだ。

「なろうか?」

 子吉沢は黙っていたので、墨丘は再び問いかけてきたのだ。

 子吉沢は耳を疑った。

「じゃあ、メール友から始める?」

「ケイタイ持ってない」

 子吉沢は今まで、携帯を欲しいとは思っていなかったが、急に欲しくなった。

「そう……」

 墨丘は肩を落とした。

「がっかりすんなよ。友だちがいなくたって大丈夫だよ」

 子吉沢は毅然としていたが、本心は愕然としていたのだ。

「ケイタイないなら、これから学校で話しかけるけどいい?」

 墨丘はよほど子吉沢と友だちになりたいのか引き下がらないのだ。

< 29 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop