明日は
「早くおいでよ」

 美帆には断りではなく、恥ずかしさから照れているとしか思ってないようだ。だから子吉沢の腕をつかんで、引っ張り出したのだ。

「わかった……」

 子吉沢は観念し、美帆の後を追った。

 昼休みは校庭で遊ぶ者と教室で遊ぶ者と別れるが、今日に限っては教室に残っている人数が多いように思えた。

 教室のカーテンは閉め、机を前に集め、後ろに空間ができたので、クラスメイトたちは輪をつくるように囲んだ。

 子吉沢は少し薄暗くなった教室でクラスメイトたちの顔を順々に眺めた。そう言えば、同じ小学校のやつが三人しかない。その中で安田桃香だけが小学校からずっと同じクラスだ。しかし、お互い会話しないので顔を知っている程度だ。


「誰から始める?」

 と、言ったのは真猿博人だ。話し好きで、みんなを集めるのが好きなやつだ。

「じゃあ、俺から」

 手を上げて言ったのは克物亮だ。真猿と仲がいいので、今日の怪談話のネタがあるのだろう。


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