明日は
 夢であってほしいと、願ったが、これはまぎれもない事実だ。

 父親の不在の間は幸せだった気がする。行方不明で死んでしまったと、思った。それゆえに複雑な思いが子吉沢の脳裏をよぎった。



 母親が帰宅して、子吉沢は父親のことを話すが信じてもらえず、警察からの連絡で事実と知った。

 母親も冗談と思いたかったのだろう。すぐに警察に呼ばれ今は子吉沢一人で留守番だった。

 母親は慌てて家を出たので、夕食はまだだった。

 ドンッ!

 玄関のドアを叩く音がした。

 ドンッ! ドンッ!

 と、玄関のドアを立て続けに叩く音がする。人が叩いているのではなく、物を投げつけているようだ。

 罵声が聞こえた。非難を男がさけんでいるようだ。
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