拝啓、カミサマ【短編】
すきだ。


声に出したら、多分この言葉は私の今の想い程価値のあるものにはならないだろう。
私は、ぶらりに依存している。
自覚はばっちりだった。

ただ、稀に頭をもたげる欲だけは苦い想いしかわかない。

ぶらりに私と同じように依存してほしい。
そんな身丈に合わない自分勝手なもの。


感情と共有の押し付けは、私が1番嫌いなはずなのに。


ぶらりが家から出られない身体なのを良い事に、こうして足しげく通っては彼がしたくもないんだろう話を振り、すぐにほうり出して…


「また、言葉にできないものが沸いてきたのかな」


頬に触れてた指が、私の濡れた睫毛に優しく触れて、また涙が出ていたことに気が付いた。

目をつぶると、表面張力で溜まっていた分がシーツに埋もれる髪を濡らして白んだ暗闇だけになった。



「…不毛な考えだと、わかってはいるのだよ」


瞼を降ろし続けるのが疲れた。
脱力するとほんの少し、睫毛の向こうに私の目にかぶさるように私に触れる彼の手が見えた。


「あふれる前に、全て言葉にしてやれればなんて、僕も所詮は人なんだと思うよ」


ぶらりが認める神様って、どんなものなんだろう。






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