桜の雨~誓い 次世代編~
戻って来た圭吾が、
ドアを閉める。

「誰から?」

「ん〜?…あ、クマ先生だね。」

クマ先生は、さくらや
依夏はもちろん、
圭吾たちの代から
お世話になっていた
おじいちゃん先生。

髭が凄く、体が大きいので、
いつも子供に怖がられていた。

今は引退して自由な生活を
送っているみたいだけど。


圭吾は静かに手紙を読んで、
再び封筒に戻した。

「何?何て書いてあったの?」

好奇心旺盛なさくらは、
何にでも興味を持つ。

「いいの、子供は気にしなくて。
それに、さくらが読んでも
難し過ぎて解らないよ。」

「あ、またあたしを
子供扱いしたな。」

「はは、じゃあ試しに
読んでみるか?」

「いいの?」


手紙を受け取り、
さくらは読んでみたが、
確かに難しかった。

「むぅ〜。」

「どうだ?難しいだろ。」

「ちぇ、パパの事
知れると思ったのに。」

「ははは、やっぱり
そんな事考えてたのか。
…そうだなぁ、もう少し
経ったら教えてあげるよ。」

「本当に?約束ね!!」


さくらは父親が大好きで、
少しでも父親を知りたくて、
今までたくさんの
質問をしてきたけれど、

未だに簡単な事しか
教えてもらっていない。

さくらは少し不満だった。

本当はもっと知りたいのだ。
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