不妊治療~コウノトリがこない~
私はとにかくゆっくり帰った。

全然頭が働かない。

何を考えてるのかもよくわからない。

ただただ悲しい気持ちでいっぱいだった。


しかし帰らない訳にもいかず、玄関を開けた。

妻は早い帰宅に驚きながらも「おかえり~」と笑顔で迎えてくれた。


スーツを脱ぎ、ジュースを飲み、少し落ち着いたところで妻を呼んだ。


「マキ…ちょっと話があるんだけど」

「なに」

「こっちに来てくれないか」

「うん」

「実は今日また泌尿器科にいってきたんだ」


「え?」
妻は病気と思っただろう


「実は俺……」

「精子がないらしんだ」
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