【ラブコメ】委員長の憂鬱
「夏、手は抜くのか?」
寮のふたり部屋に俺と住む凛夜が、風呂上がりで濡れた髪を拭きながら俺に話しかけた。
大方、松井との勝負のことだろう。
率先して楽しんでやがったからな。
「あれ、お前が勉強してるなんて珍しいな」
参考書をめくる俺を見て、凛夜は不思議そうな顔になる。
小さい頃から、無駄に金を持っていた母親に、さまざまなことを習わされた。
その中には、英才教育なんかも含まれていたわけで。
おかげで、テスト前に勉強なんかしなくても、ある程度の点数は簡単に取れる。
「…手、抜いたら、負けるかもな」
冗談混じりに凛夜に言った。