【ラブコメ】委員長の憂鬱

「夏、手は抜くのか?」

寮のふたり部屋に俺と住む凛夜が、風呂上がりで濡れた髪を拭きながら俺に話しかけた。


大方、松井との勝負のことだろう。

率先して楽しんでやがったからな。


「あれ、お前が勉強してるなんて珍しいな」

参考書をめくる俺を見て、凛夜は不思議そうな顔になる。


小さい頃から、無駄に金を持っていた母親に、さまざまなことを習わされた。

その中には、英才教育なんかも含まれていたわけで。

おかげで、テスト前に勉強なんかしなくても、ある程度の点数は簡単に取れる。


「…手、抜いたら、負けるかもな」

冗談混じりに凛夜に言った。

< 50 / 53 >

この作品をシェア

pagetop