怪盗プリンセス
【プリンセスがいないと、静かですね。】

ジューンは、本を閉じた。


「静か過ぎて、逆に落ち着かないぐらいです。」

ジューンの言葉に、サクラが苦笑した。

【確かに、静か過ぎますね。でも、もうすぐ五月蝿くなりそうです。】

サクラの言葉に、ジューンは首を傾げた。



【何者かが、船内に侵入しました。】

「誰ですか?」

【わかりません。】


ジューンは、軽く溜め息を吐くと、本を机の上に置いて、廊下に出た。

途端に、炎と氷が飛んでくる。


ジューンは、それを慌てて避けた。


「アランさん、シャナさん、落ち着いて下さい!僕が何をしたんですか!」

次々と飛んでくる炎と氷を避けながら、ジューンが叫んだ。


それと同時に、飛行船の火災警報システムが作動し、廊下に水が降り注ぐ。


「ジューン。貴方、プリンセスに何を言ったの?」

シャナの冷たい声が、船内に響く。
ジューンは、自分に降り注ぐ水の温度が氷点下に下がった気がしていた。


【取り敢えず、船室にどうぞ。】

サクラが、船室から顔を出して言った。


アランとシャナが、船室に入って行く。
溜め息を吐きながら、ジューンも船室に入った。


【プリンセスが、何かしでかしたんですか?】


サクラが、アランとシャナに紅茶を出しながら言った。


_
< 29 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop