とんでも腐敵☆パートナー
「最近朽木さんのツッコミが過激化してるんですけど、なんとか言ってくださいよ拝島さん」
 
 あたしは向かいに座って里芋を口に運ぶ拝島さんに半分涙目で訴えた。
 
「う~ん……でもグリコちゃん、やってること犯罪すれすれだし……」
 
 曖昧な笑みを浮かべて返す拝島さん。
 
「すれすれじゃなくて犯罪そのものだ」
 
 ぶすっとした顔でハンバーグを突付くのは拝島さんの隣に座る朽木さんだ。
 
 今日もお二人とも、見目麗しゅうございますなぁ。
 
 あたしは痛む脳天を撫で撫でしつつ、にへっと頬を緩ませた。
 
 ここは朽木さんの大学の学食。
 
 夏休みが終わったので、また大学まで足を運ばないと、二人の姿を拝めなくなったのだ。
 
 おいおいお前の単位は大丈夫かって?
 
 もちろん、午後一の講義がない日を選んでる。
 
 とはいえ、完全に大丈夫とはいえないのは単位ではなく淋しい懐具合だ。
 
 段々写真のプリント代などのかさみ具合がやばくなってきて実はプチ崖っぷちのあたし。
 
 にへらっとしてる場合でもない。
 
 窓の外に視線を投げれば、あたしの心を映し出したかのような灰色の曇天が広がっていた。
 
 ああ……雨の代わりにお金降ってこないかな……。
 
 学校が始まったばかりの秋は、まだまだ浅く、アンニュイな気分には浸りきれない蒸し暑さがすぐにあたしを現実に引き戻す。
 
「バイト……しようかな」
 
 結構本気な独り言をぼそりと呟いてみた。
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