とんでも腐敵☆パートナー
「こらこら、調子に乗るんじゃないぞ」
 
 朽木さんのげんこつが、ポカッて感じで頭に振ってくる。爽やか笑顔で言ってるけど、あたしの頭に乗せたままのげんこつがギリギリ脳天に捻り込まれてくるあたり、相当陰険だ。めっちゃいたひ。
 
 でも栗子負けない!
 
「ん~……じゃあ、よければ俺達と一緒に来る? 中古カーショップに行くところなんだけど」
  
「拝島!」
 
「わぁ~! お邪魔してもいいんですかぁ~!」
 
 あたしは心の中で、してやったりとほくそ笑んだ。
 
「カーショップなんて、女の子には退屈かもしれないけど、それでもよければ」
 
 ハニーさんは蕩けそうな甘い顔で言ってくる。
 
「是非ご一緒させてください! 車も興味あります!」
 
 本当はこれっぽっちも興味ないけど。
 
「図々しすぎるぞ桑名。お前とはまた今度ゆっくり話す機会を作るから、今日は遠慮しなさい」
 
 朽木さんはあたしを追い返そうと必死なようだけど、絶対退くつもりはない。
 
「も~素っ気無いなぁ~朽木さん。昔みたいにグリコって呼んでくださいよぉ~」
 
「ははははは。グ・リ・コ。帰りなさい」
 
 能面が貼り付いたような朽木さんの笑顔が怖い。爽やかスマイルの裏側からどろどろと殺気が滲み出てくるのが目に見えるかのようだ。
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