とんでも腐敵☆パートナー
「さて、どうする? 逃げ場はないぞ」

 言いながらゆっくりと、近付いていく。

「何がいいかな……手足を縛って裸に剥くか……写真もいいが、体に傷を付けるのも嫌いじゃないな」
 
 白い首筋に目を落とす。
 
「……ああ、もちろん、気持ち良い方が好みなら、そうしてやってもいい」
   
 ボタンをひとつ外し、シャツの襟元を緩めた。
 
 手を伸ばせば届く距離まで詰め、一旦足を止める。

 そのまま覗きこむように顔を近づけ――
 
 
「俺を愉しませてくれるなら、な」
 
 
 にやりと笑って言った。
 
 相手の恐怖心を煽る仕草――俺の得意とするところだ。
 
 グリコの目が見開かれた。
 ごくりと喉を鳴らすように下し、一歩後退る。
 
 俺はその様子に満足を覚え、小さく舌舐めずりをした。
 
 俺が豹変するといつも相手は絶望の表情を浮かべる。その恐怖に歪む顔を見るのは楽しい。俺にとってそれはゲームの一種だった。
 
 今頃は、俺を脅迫しようなどと思ったことを後悔してることだろう。だがもう遅い。
 
 お前は、自ら地雷を踏んだ。
 
 笑みを深め、またひとつボタンを外す。
 
 女相手に本気でどうこうしようという気はない。
 多少強めに脅しておくつもりだった。

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