とんでも腐敵☆パートナー
 白い砂浜を、「アチアチ」と飛び跳ねながらやってくるグリコ。その後ろに続く立倉と池上。
 
「わっ! わっ! うっひょ――っ! すっげ――っ!」
 
 今にも涎を垂らさんばかりの高地の歓声がしつこくて煩い。まぁ確かにこちらにやってくる二人の存在感は周囲からかなり抜きん出ているが。
 
 立倉、池上はセパレートタイプのビキニだった。池上のは大胆なカット。立倉のはミニスカート風。どちらもかなりスタイルが良いことが見てとれる。
 
 池上は長い髪をアップにして、ますます大人の女といった雰囲気を醸し出していた。モデルだと言われても違和感はないだろう。
 
 立倉は大きめの麦わら帽子を被り、気だるげに歩いてくる。さっきまで掛けてた眼鏡は外したようだ。こちらは池上より知性が際立つが、池上に負けず劣らず美女然としていた。
 
 そしてその二人の先頭を歩くグリコ……。
 
 ポニーテールに水色のワンピースの水着。
 
 とりたてて目を引く部分はどこにもない。
 強いて言えば、「お前は小学生か?」と突っ込みたくなる水着の子供っぽさか。
 
 はっきり言って、あの二人と並んで歩くと可哀想になるくらいに色気に差があった。
 
 胸は小さいというわけではないのだが、普通だし、全体的に小柄だし、同じ女子大生とは思えない。完全に後ろの二人の引き立て役だ。
 
 もっと、自分のレベルに釣り合った友人を選んだ方がいい。
 
「やっほー! って朽木さん、なんか今失礼な目であたしを見ませんでした?」
 
 俺の前までやってきたグリコがじとっと睨んで言った。
 
「悪い……哀れみが表に出てしまった」
 
「ムキー! 失礼の上塗りー!」
 
 猿のような怒り方をするグリコを「砂浜はペットは禁止だから騒ぐと捕まるぞ」などと少しからかってやる。と、俺の背後から拝島が前に出てグリコに向かい合った。
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