君へ

11

小さく、息をつく。
目の前の光景。
嫌でも分かる、彼と自分との差。
彼の周りは人が集まる。
彼は甘い蜜で、光だから。
皆どうしようもなく惹かれるのだと思う。
HRが終わって急いで校門に駆けたけど彼の周りは既に女の子だらけだ。
皆、早いな。
いいな。
自分のこの思うように動かない足が憎い。
彼に自分の気持ちに素直に話し掛け、笑顔を振り撒く彼女達が羨ましい。
同性の私が見ても可愛いと思う。
それに比べて、私は動かないでただ、羨むだけ。
あんなに楽しく喋れないし、可愛く笑えない。
それなのに、羨ましいと妬む心は人一倍で。
醜い心。
彼の傍にいたいのだ。
出来れば1番近くで。
そんな愚かな想いしか沸き上がらない。
「なお、来てくれたんだ」
少し離れて俯いていた私に掛けてもらえる声。
「あ…」
邪魔してしまっただろうか。
「話し…」
馬鹿みたいに単語しか喋れない。
どうして皆みたいに流暢に喋れないの。
「ああ。うん、なお待つ間だけだから、もういい」
行こう。
手を取られる。
どうして皆は分からないというのに、貴方には私の言葉が届くの。
自然に隣に来てくれるの。
「じゃあね」
彼女達に挨拶するとさっさと帰り道を歩き出す。
私は彼女達がどんな目をしているのか分からなくて顔を上げられないまま俯いてついていった。
さく。さく。
ゆっくりスニーカーとローファーがアスファルトの上を歩く。
心地よい歩調。
彼が合わせてくれているのが分かる。
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