君へ

28

あの後は、なおは照れてなのか少しぎこち無かったけど朝食を食べて、買い物に出た。
昔みたいにまた手を繋いで歩いた。
なおはまた真っ赤になったけど、すぐ慣れた。
歩いていて見たい店があると小さく俺の手をひいて目で訴える。
「なお、このお店見ようか」
なおは無意識みたいで、今日の買い物リストと全然違うショップを俺が指差すから驚いて、でも喜ぶのだ。
「これも買おう」
「これ、お揃いにしようか」
「うん、なお似合う、買っちゃおう」
「これ、いいよね」
etc…。
なおに可愛いと思う洋服を着せるととても似合うのでダメダメと首を振り続けるなおを笑顔で抑えて買って。
なおが気に入ったようなのでお揃いのマグカップを買って。
他にも数日分の生活類しかあの家にはないので必要なものを、揃えた。
「なおご飯食べようか」
楽しくて気が付いたら1時過ぎていた。
俺はいいけどなおが倒れてしまう。
なおが好きそうな落ち着いたカフェに入る。
「パスタ好きだったよね」
こくりと頷いてくれる。
「何食べたい?」
「えと…あの…」
頑張って喋ってくれる。
お店は土曜日のランチだから中々混んでるけど、大丈夫なおの声は聞こえる。
「あの、買い物、ありが、とう…お金…」
真っ赤になって一生懸命喋るから何かと思ったけどそんな、いいのに。
「プレゼントだから大丈夫。それに俺、親父の仕事手伝って結構バイト代もらってるんだ」
これは本当。
それにお金もらってもなおくらいしか使い道無いし。
気にしないでね。
でも、でもと繰り返すなおにお腹空いたのとどめの言葉を告げてメニューの話しに切り返す。
「なお何食べたい?」
結構優柔不断で中々決めれないなおに聞く。
「…決まらな…」
そんなに長い時間悩んでないのにメニューから顔を上げたなおは申し訳無さそうに目を潤ませて眉を下げる。
「何で悩んでるの?」
聞けばシーフードパスタにするかラザニアで悩んでいたらしい。
両方頼んで後俺が食べたいのも頼んで好きなの摘めばいいよ。
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