大嫌いでも大好きだから
「梓…!」

わたしは顔が青ざめた。


キス寸前の自分たちを、
よりによって梓に見られた。




恥ずかしい。

というより、
ショックの方が強い。



「……」

梓は無言でわたしたちを見ている。
だからこそ余計その威圧感に圧倒され、不安になった。


「田中センセはいないよ、西野」

ふとその沈黙を破って鳳くんが答えた。

するりと掴まれていた手はほどかれ、
顔が離れていく。


それでも梓は何も言うことなく、
扉の前で立ったままの状態を続けていた。
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