俺様男子と同居中。
「どういうことだよ?」

 翔は、顔は離したものの、腕はまだ私の首に巻きつけてあって、私は身動きが取れない。しかも、質問すると同時に覗き込むように目を見るから、その長いまつげに、さらさらとした黒髪に、少し上目遣いになっている瞳に、思わずドキっとしてしまう。

「そ、そういうことじゃなくて・・・誰にでもこういうことするの良くないよ。それに・・・私は・・こういうのは、好きな人とだけしたいの!」

「ふーん・・・。誘ってるのかと思ったソレ」

 翔はそう言って目で指す。
続いて見ると、スカートが捲れて下着が見えていた。

 再び顔が真っ赤になるのがわかった。

「い・・・・いやーーー!」

 翔はうるさそうに顔をしかめる。そして私の口を塞いだ。

「うるさい。今度は口にキスして塞いでやろうか?」

 その言葉にぴたっと止まって首を横に焦って振る。
すると翔は手を離してまた話し始める。

「で、好きな奴としかしたくないんだっけ?キス」

「う、うん。」

「じゃぁお前を俺に惚れさせれば問題無ぇわけだ」

「そうだよ。・・・・・・・ってえ??」

 目を丸くして翔を見ると長いまつげに縁取られた目で見返された。ニヤリと笑う口元にただならぬ嫌な予感がする。

「ちょ・・・・待っ・・・・・」

 ガチャ

 なんとかしたいという思いから口を開きかけたが、ドアの開く音で遮られる。

 その時私はまだ翔に捕まっていて、膝の上に座っていた。入ってきた両親達が黄色い声を上げたのは言うまでもない。
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