甘いクスリ
 

「なんか、胡散臭い。」

都築が、目の前で
俺をあやしげな目でみている。


「なんでだよ?」

キミ、何を言ってるんだい〜?
くらいの、軽口を返せば


「先生、追い詰められると、
ほんの一瞬目が泳ぐんだよね。
自覚あるんだか知らないけど。」

と、シテやったり顔の彼女。

・・・マジ?
お、泳いでるか?!


男の願望の話など
隠すほどでもない事だけど
何となくバツが悪くて
話題を変えることにした。

「よく見てんだな。
で、鷹尾の事は、
どーなのよ?」

「だから、なんで
鷹尾先生の事がでてくんの?
そんな、いつまでも
引っ張ったりしないもん。

そりゃまあ、今も好きだけど
一般的な『好き』な、訳だし。」


一般的?


んぢゃ、なんで泣いてた?
あの感じ、絶対
オトコ関係だろ?


「じゃあ、俺の知らない男?」 

気まずさを隠すため
缶に唇をあてがう。

平静を装い、
情報を必死に集める自分が
非常にコッケイだ。


「ん・・・っと、

・・・よく・・

知ってるはずだよ。」


・・・ヤラレタ・・・
まさかの
透かな・・・




 
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