甘いクスリ
 

「やっぱ、ね。
こうなると思ったんだ」


予想通り、洗いざらいを
(俺の気持ちって事だけど)
吐かされた後、
七海は、悪魔の笑みを浮かべて
そう、いった。



確かに、言われていた。



『先生、来るもの拒まず、
去るもの追わずだからさ。

琴子さんみたいなタイプに
絶対はまるって』


何かの機会に、
七海が俺を待ち伏せて
無理矢理ここに連れてきた
時に。


『七海が、キューピッド
してあげる

先生には、琴子さんは
落とせないよ。

ご褒美は、前のライブで
弾いてた、赤いボディーの
アコギがいいっ
キティーちゃん付けたら、
かわいくなると思うんだっ。』

そんな勝手な契約の持ち掛けを
七海はしてくれていた。

俺の大事なギターに
猫のキャラクターなんか
付けられてたまるかっ



でも・・・



「七海、いつかの『契約』って
有効なの?」


カップを指で弄びいえば。


 



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