†神様の恋人†

すれ違う心

夜になり、闇がすっかりわたしたちの姿を敵から隠すと、わたしたちは出発した。

わたしたち一向にとってここが正念場だった。

この辺一帯は敵であるイギリス軍とブルゴーニュ軍の領地で、どこで彼らに出会うかわからない危険な地帯だ。

でももうすぐ眼前に現れるだろうセーヌ河を越えてしばらく南下すれば、王太子様を支持する街や領地へと入ることができるのだ。

そこまでが、とても危険なのだけど。

「ミシェル、もうすぐセーヌ河だね。こんな時だけど、わたし、わくわくしているんだ。セーヌ河を見たことないから、はやく見てみたくって」

馬上で嬉しそうに話すジャンヌに、わたしはうわの空だった。

後ろから少し離れてついてくるカミーユをさっきから怖くて振り返れないでいる。


『…もうキスしないで…お願い、カミーユ…』

『……どうして?オレが嫌いか?』

『……カミーユには、もっと素敵な人が現れるよ』

『…答えになってない。嫌いなら、嫌いと言ってくれ』

『…………』

『………ミシェル!!』



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