†神様の恋人†

村の救世主

それからわたしはカミーユの外套を頭から被りながら必死で家に向かって走った。

最初にいた川辺からはかなり流されていたようで、ジャンのいた場所に戻るよりは家に戻って誰かを呼んでくるほうが早いと感じた。

ジャンとあの傷のある男が、まだあの川辺にいるかどうかわからなかったけど、とにかく必死で助けを求めて走った。

ジャン、お願い、無事でいて!!

「ミシェル!!」

信じられない気持ちで振り返った。

ジャンの声だった。

振り返った時、ジャンは川辺から数メートル先のわたしを瞳を大きく開いて見つめ、そして一気に丘を駆け上がってきた。

「ミシェル…!!よかった!!」

ジャンが逞しい腕でわたしの体をすっぽりと包み込む。

「…く、苦しい…ジャン、苦しいよ」

「あ…ごめん」

ジャンはわたしの前に跪くと、少し涙を浮かべた笑顔でわたしの顔を覗き込んだ。

「どこもなんともないか?心配したんだぞ。河に飛び込むなんて、馬鹿なことしやがって」

「ジャ、ジャンこそ心配したんだよ!!あの男の人は!?ジャンがあの剣に刺されちゃうんじゃないかって、とても心配だったんだから!」

わたしも涙を浮かべてジャンの手を握ると、ジャンは「ああ、あいつね」と思い出したように肩をすくめた。

……え、なに?




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