†神様の恋人†

本物のキス

クロエおばさんもわたしの度胸には驚いて感心していた。

カミーユは最近ここに居座って、ふらふらと町を歩き回っては夜になると帰ってきて、酔っ払って他の客に絡むということを繰り返していたらしい。

ただお金はしっかりと払っていたし、身なりもちゃんとしているので文句は言えないとおばさんが嘆いていたところに、わたしがピシャっと言い放ったことでおばさんもスッキリしたらしいのだ。

「おばさん、あの人ってどこから来たんですか?」

客がみんな部屋に戻ってしまったダイニングの片づけをしながら、おばさんに聞いてみた。

「さあねぇ。突然やってきて、毎日女もとっかえひっかえさ。身なりはちゃんとしてるし金も持ってるから身分は高いのかもしれないけどねぇ。歳は23歳だったかな?その歳ならもう立派に働いてる歳だろうに」

嘆かわしいというようにため息をつくおばさん。

23歳ってことはジャンとそんなに変わらない立派な大人じゃない。

…なんであんな生活しているんだろう…?

ふと気になったけど、わたしはすぐに彼を心の中から追い出した。

…関係ない。

あんな女たらし……!

「ミシェル。わたしこのゴミ捨ててきてそのまま部屋戻ってるね」

「うん。わたしもここ終わったら戻るから」

ジャンヌがダイニングを出て少しして、わたしもクロエおばさんに挨拶をして2階へと上がった。




< 64 / 147 >

この作品をシェア

pagetop