†神様の恋人†

冷たい愛

暗闇の中で、ただ一つの炎を見つめる。

どうしたらいいのか、わからない。

どうにかしてここにいることをカミーユに伝えられたら……!

このままじゃエリザは壊れてしまう。

ふいに、さきほど閉じられたばかりの扉が動いたような気がして振り向いた。

「……戻ってきたのかな?」

開かれた扉の向こうに輝くばかりの金色の髪。

一瞬、眩しくて瞳を細めた。

「………?」

「…ミシェル!!」

………この…声……!!

「…カミーユ―――!!」

信じられなかった。

あり得ない人が、そこにいた。

カミーユは長い足で階段を飛び越えるように降りてくると、わたしの顔を両手で包んだ。

「無事か!?ミシェル」

…な…んで…?

「なんで?カミーユがここにいるの……?」

カミーユの両手を掴み、見上げる。

「オレの方こそ聞きたいな。なんで君がこんなところにいる?」

「なんでって、女だってバレて無理矢理連れてこられたの。本当にとんでもない人さらいの娼館だった」

「…なるほどね。昨夜君が急にいなくなったからシセって奴を問い詰めたんだ。聞いてもエリザと逃げたとの一点張りでね。仕方ないから娼婦の一人からこの場所を聞いて、鍵も手に入れてきた」

< 91 / 147 >

この作品をシェア

pagetop