Libra ~揺れる乙女心~


「俺、わかんねーんだ。女の何を見て、自分を好きだって信じていいのか。だからやきもちでも焼いてくれれば、愛されてんなぁって思えるんじゃないかって。」



意外だった。


隆介は、彼女がやきもちなんて焼いたら、『うぜ~』とか言ってすぐに別れちゃうような男だと思ってた。



だから、さっぱりした理沙を選んだんだと…


「一緒にいて感じない?自分を好きでいてくれてるなぁって」



残酷な質問をしてしまった。




「一度もねぇな。」



隆介はそう呟いて、また空を見上げた。




「小学校の頃、母親が家出したんだ。それ以来、俺は何が本当で、何を信じていいかわからないんだよ… 友達のことは信じられるようにはなったけど。」



健太から少しだけ聞いていた隆介のお母さんの話。



「隆介は理沙のこと好きなの?」


その質問も、隆介にとっては辛かったようだ。



「それすら、わかんねぇ。でも、好きだと信じたい。もっと、信じ合って、わかりあいたい。お前と健太みたいになるのが夢だった。」






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