Libra ~揺れる乙女心~
11月の午前中は、息が白かった。
待ち合わせたさびれた遊園地は、子供連れの家族ばかりで、カップルなんて見当たらない。
一番に到着してしまった俺は、原チャに座り、缶のホットコーヒーを飲んだ。
「ママ~!!待ってよ!」
入り口で駄々をこねる男の子が、お母さんを呼ぶ。
歩けるのに、もう歩けない・・・という格好で、お母さんに抱っこをせがんでいた。
「もう・・・仕方ないわね。」
そのお母さんの髪型が、俺の母さんに少し似ていて、胸の奥が痛んだ。