天然なあたしは悪MANに恋をする
捨てる恋と拾う恋
「えへへ、ミズナぁ…昨日は、ありがとね。すんごい助かったあ」

1時限目にある英語の準備をしていたあたしの席の前に、セイちゃんとリンちゃんが立った

2人に貸していた4千円が、英語の教科書の上に置かれた

「え? あ、うん」

予想外の二人の行動に、あたしは座ったまま2人を見上げた

「マジ、ほんとに助かったんだよ。さすがミズナだよねえ」

「あ…うん」

セイちゃんとリンちゃんの二人が、わざわざあたしの席に来て話しかけてくるなんて、滅多にないからちょっと驚いた

どうしたんだろう

お金も返してくれるなんて…不思議な日もあるもんだ

「ミズナが困ってるときは、絶対ウチらが助けるから! マジ、友達でいようね」

「え? あ…うん」

あたしは首を傾げながら、頷いた

なんで『友達でいようね』って確認をしているのだろう?

いつもなら、そんなこと言わないのに、変な2人だ

1時限目の予鈴が鳴ると、セイちゃんとリンちゃんがあたしの机から離れて行った

2人の口が「良かったねえ」と動いているのが、わかる

どうしたのろう

何が『良かった』のか?

イマイチ、よくわからない

あたしは眉の間に皺を寄せながら、小首を傾げた

「あっ! いたいたっ。クラスを聞き忘れちまったからさあ。A組から順に探しちまったよ」

ガラっと教室の扉を開けた金髪の男子が、大きな声で口を開いた

赤いネクタイに、金髪の短い髪

ルーズに着崩した胸元は、昨日、間近で見た記憶がある
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