『密室殺人』
 
「えぇと……単三乾電池、だったわね?あったかしら……」


洋子はそう言って、自分の部屋を振り返る。


「あの……なければ、いいんです。もし、あったらいいなぁって思っただけなんです」


弥生が申し訳なさそうに、消え入りそうな声を出した。


「でも、必要なんでしょう?単三乾電池」


「大丈夫です。買いに行きます。お金も持ってます」


洋子の問い掛けに、弥生は自分のポケットを探りながら答えた。


ぽとりと、弥生のポケットからハンカチが落ちた。



< 11 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop