約束
第十六章 帰省
 扉を開けると、眩い光が玄関に差し込む。彼と同居をすると聞かされた日も、日の強さは違うが、こういう天気だった。

「行ってきます」

 忘れずに振り向くと、玄関に立つ二人に挨拶をした。姉と母親だ。隣には黒のシャツにジーンズをはいた木原君がいた。

 彼は私が百合の家に行くというと、驚いていたが反対することはしなかった。こうして一緒に行くことになったのは、私一人では両親と話をしにくいのではないかと思ってくれたからのようだった。
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