約束
第十九章 かわりゆく季節
 徐々に冬の気配が近付いてきた。

 木原君は何度か両親の家に帰り、母親を見舞っていたようだった。少しずつ母親とも話ができるようになってきたらしい。

 それがいいことなのか分からない。だが、木原君が自分で実家に帰るようになったのは彼自身にとって何か変化が起こったのだろう。

彼と付き合ってから一緒に遊びに行くことも未だにできなかったが、今はそんなことを考えている場合でもないと分かっていた。

 私はそんな彼に負担をかけさせたくなくて、いつも教えてもらっていた勉強を毎日から週に三回に変更した。

 晴実たちからデートをしたのかということをからかわれなかったことも、私にとって随分と大きな助けとなっていた。
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