約束
 門を出たとき、少し離れた場所に長身の男の人が佇んでいるのに気付いた。彼が立っている場所の近くに桜の木が立っていて、その花びらが一枚ずつ舞っている。その姿がなんだか幻想的に見えた。

 幸い、もう下校時間のピークから三十分以上過ぎているので、辺りには人がいなかった。

「由佳、明日話を聞かせてね」

 晴実はにやにやした笑みで私から離れていく。

 まだ私に気づいていない彼を呼ぶ。

 私の声が聞こえたのか、目を細めて微笑んでいた。

 彼を見ていると、心臓に悪い。でもきっと慣れるまでの辛抱だとは思う。慣れたら晴実と話すように普通に話すことができると思うから。

「本当にごめん」
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