悩める乙女と冬の夜
完全に言い訳。
怒られる…。

「うん」

と思ったら、相づちだけが聞こえた。
続きを促している視線に気付いて、私は続けた。

「…それで、なんとか今日中に終わらせようと、資料をまとめていたんですけど、気付いたらこんな時間で」

「…」

目を合わせるのが怖くて、思わず俯いてしまった。
伊藤さんは、何も言わない。

多分、とても短い時間だったと思う。
カサ、と紙の擦れる音がするまで、とても長く感じた。
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