ひなたぼっこ~先生の、隣~

┠*修学旅行













「泰葉!ちょっと、いいの!?」


「え?」


すごい剣幕な雰囲気を出し、香奈が駆け寄ってきた。




私達は今、修学旅行で"広島"に向かっている。


広島までは、新幹線で4時間ぐらい。
車内は貸し切りで、ガヤガヤと騒がしい。



「今、トイレ行ったときに見たんだけど」


香奈は、泰葉の隣に座り耳元で喋る。


「高橋と楓が仲良さそうに、隣同士で座ってたんだけど」




「…そっか」



「そっかって…いいの!?」

さっきよりも、香奈の声が大きくなる。



「…わかってるから」


香奈に笑顔を向ける。



「わかってるって…」


「大丈夫だから。気にしないで」

「泰葉…」






「もうすぐ着くから各自、自分の座席に戻って荷物まとめろよ!」


担任が大きな声で指示を出す。

「ほら、香奈も自分の席戻って荷物まとめないと」


「う…うん」



納得いかないという顔をしながら、香奈は自分の座席に戻っていった。




泰葉も出していた荷物をしまう。





先生と麻生さん、一緒にいるんだー…







「…大丈夫だから」




自分に言い聞かせるように言った。



< 240 / 421 >

この作品をシェア

pagetop