ひなたぼっこ~先生の、隣~
雨音のせいで、車内に流れている音楽はかき消されてしまっている。
さっきまで、香奈や立川くんが先生と話していたから気にならなかったけど、この密室空間で沈黙はキツイ。
どうしよう、何か私も話さなきゃー・・・
シートベルトをギュッと握り締め話題を探していると、先生の手がポンっと頭を叩いた。
「?」
何事かと、運転席を見た。
「昼休み、ありがとな。ジャケット」
そう、前を向いたまま先生が言った。
「え・・・あ・・・」
あれ、先生寝てたんじゃー・・・
「¨無理しないでください¨か・・本当に、お前だけだよ。そうやって労わってうれるの」
「お・・起きてたんですか?」
「あぁ。安川が騒がしかったから、タヌキ寝入り」
た・・タヌキ寝入りだったなんて!!
なんだか、急にはずかしくなってきた!!!!
黙ったまま俯いていると、先生の手が頭を撫でた。
「ありがとな」
優しい声で、先生がそう言った。
「・・・いえ」
どうしようー・・・
やっぱり、好きだよ・・・
「・・ふぁぁあ」
「!」
車が赤信号で停まったのと同時に、あくびをする声が聞こえた。
俯いていた顔を上げ運転席側に顔を向けると、目に涙が溜まっている姿の先生が目に入った。
「大丈夫ですか?」
「あ?あぁ、悪い。ちょっと最近、寝不足なんだ。電話がなぁ・・・」
「電話?」
「生徒から、しょっちゅう電話かかってくるんだよ。夜中でも平気で」
「夜中!?」
「あぁ。でも、まぁ・・問題起こされるよか、いいけどな」
「えー・・・」
生徒が先生の携帯番号を知ってるのは、初耳。
それに私は、知らないー・・・