王子様はカリスマホスト
「じゃ、凛斗さんとオーナーの仕事、ずっと知らなかったの?」

「うん。なんか、知られたくなかったみたいで」

「ふーん。けど、凛斗さんはすげえよなあ」

「すごい?なんで?」

不思議に思って千尋さんを見ると。

「だってあの人、店がオープンしてからずっとナンバーワンなんだぜ」

「へえ・・・・・」

そういえば、踊り場にあった写真。

お兄ちゃんの写真が真ん中で、一際大きかったっけ―――。

「男から見てもすげえかっこいいと思うし、優しいし」

その言葉に、あたしは目を見開いた。

「優しい?お兄ちゃんが?」

あんなに冷たいのに?

「あー、そういや唯菜ちゃんに対する態度は結構冷たいよね。けど、あの人は優しいよ。ホストの新人なんて、ほんとこき使われてさ、雑用ばっかだし先輩には怒鳴られるしで、客が着く前に辞めちゃう人だっているくらいなんだけど―――けど、凛斗さんは優しい。絶対怒鳴ったりしないし、教え方も丁寧だし。だから俺なんかも頑張れるようなもんだし」

そう言って微笑む千尋さんは本当にうれしそうで―――

「尊敬してるんだ、俺」

その言葉に、嘘はないように思えた。

「それにさ、あの店だって―――たぶん、凛斗さんのおかげでここまでこれたんだよ」

「え―――それ、どういうこと?」

「これは、先輩に聞いた話だけど―――凛斗さんは、人身御供だって」

「人身御供―――?」
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