冬季限定!!ホットジャー


『馬鹿なホットジャーね…』



バイトを終えた雪女・ヌックは笑みを浮かべ赤いマフラーを首に巻いた


しかし更衣室から出るところで彼女の笑みは一瞬で消えてしまう


「ヌックちゃんの鍋物コーナー売れ行き悪いわよね、もうクビじゃない?」


肉(ステーキ)担当の小川さんの声だ
反対のロッカーから聞こえ思わず体が凍りつく


「そうねーそりゃ可愛い?けど一つしか売れないなんてあり得ないし?」


ウィンナー小田さんだ


「そうそう、しかもアノコいるだけで寒いし、雪女に鍋なんて任せるからこんなことになんのよね〜」


「そうね〜?鍋の汁凍りつく手前だし〜?もしくはシャーベットだし〜?」



ヌックはマフラーに顔を埋め更衣室を後にした



我慢だ…我慢するしかないのだ


折角のバイトをあんなことで辞めるわけにはいかない、お金がいるのだ、貯めてみんなでまた温泉旅行に行くのだ、最新の暖房器具でみんなで暖まるのだ。


ヌックは帰り道、ふと空を見上げると星が瞬く夜空に希望を探すかのように目を細めた



寒い寒い日だった。



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