氷の女王に口付けを

リンクの中央にタクが立つ。


舞踏会の開始を知らせる鐘の音が、静かに響き渡った。


フリープログラム。仮面舞踏会。


戯曲『仮面舞踏会』を題材にした音楽作品。


三拍子の重厚な音楽でスローパートがなく、常に一定のリズムを奏でるこの曲は休む所がなく常に動き続けなければならない。


まさに舞踏会に相応しい曲。


そしてタクが演じるのは、戯曲『仮面舞踏会』の主人公。アルベーニン。


舞台は文字通り、仮面舞踏会。


最初に予定しているジャンプは、奴の苦手な3Aからのコンビネーション。


軽くステップを踏み、コーナーを回りながら勢いをつける。


S字の軌道を描いて、ジャンプの助走に入る。


最初のジャンプで全てが決まる。
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