氷の女王に口付けを

これではGOE(出来栄えの評価)で減点されてしまう。


このまま不正エッジのままシーズンを迎えるのだろうか?


大介ばかりに目が行っていたが、ふと羽生さんに視線を向けた。


身長183センチ。手足が長くモデル体系の羽生さんの最大の強みは身体と膝の柔らかさ。


男子では現在唯一ビールマンスピンが出来る選手で、昨年の全日本選手権では二位表彰台に上り、世界選手権でも五位入賞を成し遂げた実力者。


フリップに不正エッジがあり、大介と同じでインサイドで踏み切らないといけないフリップをアウトサイド気味で踏み切っていたが、今までの練習を見ていたら無事矯正できたようだ。


これで羽生さんのアキレス腱はなくなった。


長方形のリンク一杯使って助走をし、ジャンプに入る。


左足のトウで氷面を突き、右足アウトエッジで踏切りジャンプ。


俺は目を疑った。


高さと幅、そして回転速度も申し分ないジャンプ。
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