危険ナ香リ

イイコト教えてあげようか






「……しょうね」

「アホ。連れてくる途中で寝たんだよ。変なことなんかしてない」

「ってゆうか、美波先輩って本当に佐久間先生と同棲してたんですねっ!」

「同棲いうな!葛西(かさい)!」




 ……うるさい……。


 眉を寄せながら寝返りをうつと、いきなり宙に浮いた。




「ぎゃっ」




 べしゃっと地面に落っこちて、体を痛める。


 な、なんで落ち……いやそれより痛……いやいやそれより、ここどこ!?


 ぶつけた頭を押さえながら、すっかり覚めた目で周りを見回す。


 そして、ここがどこだか理解できないまま、






「ぐっもーにーんぐ!まいすいーとハニー!」

「うぎゃっ」






 寝転んでいた体を無理矢理起こされ、それでキツく抱きしめられた。


 な、なんかおっきい胸が当たってる……!




「先輩。それは死にます。逝きます」

「あ。そうだったわ。恭子ちゃんはデリケートなんだったわ」




 聞き覚えがある声があたしに助け舟を出すと、すぐに拘束がとける。


 そのまま苦しさのあまり、さっきまであたしが寝ていたと思われる布団に手をついて、息を吸う。




 ……って、今の声と胸の大きさは……。




「み、美波先輩?と、柚乃ちゃん?」




 まだ息切れを起こしているまま振り向くと、柚乃ちゃんと美波先輩と……佐久間先生の姿が見えた。


.
< 109 / 400 >

この作品をシェア

pagetop