昼間の月は淡くて白い 第二巻

*『巡り巡って』

大気の熱を奪う雨は

悲しみのほてりも拭ってくれるでしょうか

ずくずくと血を吹くこの胸が

ひどく鈍く痛むんです



激しく降り注ぐ雨粒は

何処か誰かの哀しみですか?



人知れず流れたあなたの涙は

巡り巡って還ってくる

あなたの心が流す血を

溶かし流して拭うために

虹の下では笑えるように



大気に溶け込む雨の香(か)が

ひどく懐かしいのは何故なのでしょう

土と混ざったみずみずしさが

とてもとても愛おしい



哀しみの粒は何処までも優しくて



人知れず流れたあなたの涙は

巡り巡って還ってくる

あなたの心が流す血を

溶かし流して拭うために

虹の下では笑えるように


乾いて乾いてひび割れた地に

静かに雨が降り注ぐ

乾いた大地に根を張って

時間をかけて満ちていく


人知れず生まれたあなたの哀しみは

巡り巡って還ってくる

誰も知らないあなたの傷を

溶かし流して治すために

皆の前では笑えるように

"すぐに治るよ"と種を撒く

再び前を向く為に


*
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