snow flake〜罪な恋に落ちて〜


変なトコで真面目だと自分でも思う。

当日は指定通り、白と淡い紫色のシフォンワンピに白のファー付コート、黒でベロア素材のブーツを合わせた。

いつもは眉毛くらいしか整えないのに、きちんとメイクも施す。

なんかデートに行く前に似てる。
楽しみで仕方ない。

ふわっと浮くような感じ。

約束は仕事が終わってからなのに…






だから、よく知る街。

しかも、知り合いがたくさんいるような通りを抜ける頃には少し嫌な予感がした。

目的の場所に着く頃に予感は現実に変わる。

膨らんだ風船がしぼんでいくような気持ちになった。



目の前には有名店が集まるテナントビル。

伊織はためらいもなくエレベーターボタンを押す。
その姿が初めてくる所ではない事を意味して、戸惑う。


6階にランプが付くも降りられない。


心のどこかで予想を裏切られる事を望んでたけど、そんな事は起こらなかった。

促されて、いよいよ現実を受け止めなければならないようだ。


私の目の前にあるのは“ホストクラブ”への扉だった―――――。



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