強引彼氏



電話越しに

「うるせぇ。だまれ
ぶす。電話してんの
わかんない?」


え~。と言う女の先
輩の声がするのと同
時に電話が切れた。

なんだこの人。
強引な上にたらし?

携帯を制服のポケッ
トにしまって、階段
を下りた。


「ねぇ!!」


不意に後ろから声が
した。聞き覚えのあ
る、少し怒った口調。

クルッと振り返ると
やっぱり。


「田原先輩。何やって
んすか。」

「何やってんすかって
言われても。俺帰って
る見えたから追いかけ
きたの。」


ふーん。と頷いて歩き
出すと、先輩も付いて
来た。


「なんで付いてくるん
ですか?」


パッと振り返って言っ
た。すると近づいてき
て、すこし屈んだかと
思うと、いきなりほっ
ぺをつねられた。


「俺追いかけてきた。
走って。なのに怒らな
いで?笑ってた方が可
愛いつったじゃん。聞
いてなかったの?」


まただ。


急に恥ずかしくなって
きで手を振り払った。


「嫌い。」


ん? と首を傾げなが
ら横にきた。


「私そうやって、思っ
てもないのに可愛いと
か簡単に女の子に言う
人嫌いなんです。」


私が真剣に話したつも
りだったのに。


「面白い事いうね。言
っておくけど、可愛い
なんてなかなか言わな
いよ?元カノにだって
言った事ないんだもん
。信じない?」


そんなの知らない。
だけど、そんな事言わ
れたら....


期待しちゃう。


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