【完】冷徹仮面王子と姫。
 今日の服は、昨日買い物のときにあーちゃんに選んでもらった一押しコーデ。


 ティアードスカートを主役に、女の子らしくまとまっている。


 足元のパンプスは存在を主張しすぎず、そこそこに大人しくあたしの足にも合ったサイズ。



「とりあえず、家に着くまでにその顔を通常に戻せ。そして腕を解放しろ」


「……うー」



 ここまで冷静な声で言われると、照れているのだという究極の前向き思考も出来ない。



「はぁい」



 仕方ないから、今のうちにしっかりとしがみついておく。


 歩きにくいだなんて全くといっていい程気にならない。


 あたし、は。



「俺は歩きにくい」



 またも思考を読まれてしまったのであろうか。「は」という副詞にある深い意味。



< 101 / 223 >

この作品をシェア

pagetop