【完】冷徹仮面王子と姫。
 突然の質問。期待してはいけない、そう自分に言い聞かせつつ、次の言葉を待つ。


 もしかしてなんて、考えるだけ仕方ないじゃない。今までだって、期待しては痛い目にあってきたじゃない。



「俺の家来て」



 と、とにかくプラスの感情は押し込める方針で来ていたから、耳を疑ったのは、言うまでもない。



「え、ちょ、ど、どどどういう」



 頭が完全に混乱している。どもり過ぎにもほどがあるだろう。さすがに恥ずかしい。


 ――――――家ってどういうこと?


 あたしの中の疑問が伝わったのか、彼がもともと説明するつもりだったのか。


 前者だったら嬉しいのに、と思いつつも、全力で期待はしない。


「親が、連れて来いってうるせぇから」



 その言葉に、あたしは身震いした。


 親。親が、連れて来いと。それはつまり、あれではないか。品定め。


 となると、あたしは確実に却下される。別れの日到来なんてことも、そう遠くなく感じて、正直なかなか辛い。

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