【完】冷徹仮面王子と姫。
 あーちゃんにメールしないと、と思ったけど。



 後でいい。きっと分かってくれる。



 あたしはお母さんを負ぶって、病院までの道のりを歩いた。


 二十分くらいかけて、ようやく最寄の市立病院に辿り着く。


 駅とは反対方向。



「ありがとうございます。本当に助かりました……」


「いえ。お気をつけてくださいね」



 振り返る事も無く、病院を出た瞬間から駅まで走る。


 随分駅から離れてしまい、五分では到底モールになんて着けない。


 本気で走って駅に到着したときには、とうに十時を過ぎてしまっていた。



 ……あーちゃんだから、と。


 大して焦りもせず、悠々と電車に乗っていたんだ。



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