【完】冷徹仮面王子と姫。
「お、お、おはようっ」



 緊張のあまりに声が裏返りそうだ。とりあえずと、挨拶を交わす。



「…ん」



 相変わらず反応が極薄の氷室君。しかし今日は、負けていられない。


 冷たい声など気にしていない素振りで、あたしは言う。



「じゃ、行こ?」


「……あぁ、それなんだけど」



 苦々しい表情、発する声からは、少しの申し訳なさが感じられた。


 彼にもそんな感情があるのか、と思ってしまった。


 嫌な予感が脳裏をよぎる。勘が当たっているとすれば、今日は。



「いきなり仕事入ったらしくて。謝っとけって言われた」



 嬉しくない事に、当たりすぎである。


 だめだ。全く納得がいかない。


 これは、この先の予想も当たってしまうという、悲しい結果に終わるのではないか。


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