テレビの前の君。

「君、すごいねっ」

オーディションが終わった後、いきなり後ろから声を掛けられた。


びっくりしながらも後ろを振り返ると僕より小さい男の子がキラキラした目で僕を見ていた。


「え?」


「オーディションの時の演技!!」


「え?…ありがと…」


「そーいえば名前言ってなかったね。僕の名前は倉内琥馬(クラウチ コウマ)。12歳。小6。よろしくね」


そうさっきのキラキラスマイルで握手を求めてきた。


僕も急いで自己紹介をした。


「霧橋龍斗(キリハシ リュウト)。12歳。よろしく」


彼のペースに巻き込まれて聞き逃すところだったけど、僕と同い年だったんだ。


「龍斗かぁ。かっこいい名前だね。」


「そっちこそ。琥馬ってかっこいいじゃん」


「ありがと。子馬みたいで嫌なんだけど、字がかっこいいんだ」


「お互い名前負けしないような男になろうな。僕、もう電車の時間だから帰るね」


「うん。オーディション合格できるといいね」








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