どくんどくん ~SPRING SNOW~
魔法にかかったように動けなくなった。

なんて美しい歌声なんだろう。

拍手が、僕の家に響き渡る。


気を利かせて、出かけてくれていたお父さんとお母さんもいつのまにかリビングで拍手をしていた。

ゆうじの歌声は、クリスマスの忘れられない思い出になることだろう。

ゆうじの歌の歌詞は、僕らみんなの心に焼きついた。

みんなが泣きそうだった。

涙もろいお母さんは、涙こらえながら、拍手をやめなかった。

そこにいるみんなが同じ気持ちだった。

「すごいよ!ゆうじ!ゆうじほんとにすげ~よ!」

なんて言葉にして良いかわからずに、すごいとしか言えなかった。

その時僕の頭には、大勢の人の前で歌うゆうじの姿がくっきりと浮かんだ。
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