暗黒時代

さよなら、学校

職員室の前には、もう進路のことで教師と生徒とで話をしている。
そこを少々恥ずかしかったものの、一輝は室内に入ることができた。

「失礼しまーす。藤原先生、いますか?」

髪のうじなの部分で小さく結っている、まだおじさん、とはいえない1人の先生が前に出てくる。

「佐野君だね。場所を移そうか」
「は、はい…」

入学式に一度だけ藤原の顔を見ただけなので、覚えはあまりなかったのだが、どうやらこの一輝の前に来た先生が、藤原聖という学年主任らしい。
一輝と藤原は、職員室から出、相談室の方へと体を向けた。
相談室へ続く道のりは、案外長かったものの、藤原の口は動きっぱなしで、沈黙はなかった。
会話の内容は、やはり――兄のものである。
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