ずっと大好き…この恋は秘密 …


20分くらい話をして電話を切った。


浅井が切るのを待ってケータイを耳から離す。



『いつものおまえらしくないな。

風邪早く治せよ』



最後に言われた言葉が
胸に響く。




『いつものあたし』って…

どんなだろう…



通信簿には

『思いやりがあり正義感が強い』とかよく書かれてたっけ…





『思いやり』も『正義感』も…


今のあたしにはないけど…







奥さんの事…


ずっと頭にあった。



忘れたことなんてなかった…


申し訳なくて…

罪悪感でいっぱいで…




でも

それでも…





あたしも自分の幸せを一番に考えたかったの…



浅井さんのそばにいたかったの…



ケータイを握ったままの手に
涙が落ちる。







でも…


あたしにはそんな資格なかった。



幸せを願う資格なんて…



結婚してる浅井さんからの電話に出た時

なくなった…




浅井さんが結婚してるのを知りながら

浅井さんからの電話を待ってたあたしには…




そんな資格

もうなかったんだ…








無表情の目から…

涙が頬をつたっていた。









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