ずっと大好き…この恋は秘密 …



みのりは店長の言葉に甘え
バイトを早めに切り上げることにした。



少し放心状態のまま店を出ると
車のクラクションの音が耳に飛び込んできた。


突然の音に
みのりが思わず体をすくめる。





音の先にあったのは…






一番

会いたかった人の姿―――…





あんなに会いたいと思っていたのに

運転席で微笑む浅井に笑顔を返せなかったのは…



さっきの店長の話が頭から離れなかったから…




どんな思いで圭司が自分を見ていたのかと思うと…



悲しくて

切なくて…



圭司の真剣な目が

まだ忘れられない事を意味しているように感じて…








でも

あたしには関係ない。


ただ似てるからってだけで
あんな目で見られたって…

キスなんかされたって…



迷惑なだけだもん。






あたしには…

関係ない。






みのりは浅井に笑顔を返して
浅井の車に向かって歩き出した。



助手席に乗った瞬間に
微かにタバコの匂いが広がった。


いつもの匂いにみのりの気持ちが安らいでいく。



「ごめんな、約束破って…


…やっぱり会いたくて」



浅井がそう言って優しく微笑んだ。


浅井の言葉がみのりの胸を高鳴らせる。



さっきまで圭司の事で支配されていた頭が浅井の事でいっぱいになる。





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