ずっと大好き…この恋は秘密 …



みのりの頬に固い冷たい何かがあたり

みのりは浅井から離れた。



不思議そうに浅井のシャツの胸ポケットを見つめるみのりに気づいて

浅井が笑う。



「あぁ、これ」


浅井が胸ポケットから出したのはみのりのプレゼントしたジッポだった。



「…使ってくれてるんですね」


それだけで、みのりの気持ちが明るくなる。


「当たり前だろ?

オレ、ジッポ使うのってこれが初めてだから最初は戸惑ったけどもう慣れたし。


大人の男っぽくていいよな(笑)」


そう無邪気に笑う浅井は
とても大人の男には見えなくて…

みのりは微笑んだ。







何を考えてても…

不安があっても



浅井さんの笑顔を見れば忘れられる。




一緒に居られれば忘れられるの。





だけどそれじゃ何も変わらないね…





ずっとずっと…


『堂々巡り』…





同じことの繰り返し。




「…佐倉?」


浅井に呼びかけられてみのりは浅井を見上げた。


少し心配そうに見つめる浅井に今だに高鳴る胸を押さえながら笑顔を返す。








浅井さんが悪いんじゃないよ…


悪いのは全部あたし…




だからそんな心配そうな顔しないで…



浅井さんにそんな顔されると甘えたくなっちゃうから…



自分でブレーキをかけてないと想いが暴走しちゃうから…






『浅井さんに迷惑かけたくない』







その想いが





あたしの最後の砦…









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